シャルベ
(フランス)

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いろいろなシャツを着てきたが、結局はシャルベにたどり着く。
現在のシャツの原型を作ったのがシャルベだ。
それ以前は、襟と袖が分離しているタイプのシャツをシャツと呼んでいた。
英国貴族のドラマ『ダウントンアビー』に登場するシャツがシャツだった。
糊でかっちりと固められ、叩くとカツカツと音がする硬い白一色の生地。
食事のたびに着替えるのが常識で、襟と袖は、そのたびに装着されていた。
それ以前はチュニックというものを着ていた。DSCF7491
たとえばフランシスコ・ザビエルが着ていたあのヒダヒダの襟のシャツである。
20世紀になり、鉄道が発達してヨーロッパでは移動することが常識になった。
着るのに簡便で、活動しやすい服飾が求められるようになった。
またビジネスマンが登場して、やはり活動的に動きやすい服飾が求められた。
こうして現在のスーツが登場し、シャツが登場した。
シャルベは、この流れをいち早く取り入れた。
シャルベそして柔らかい生地で襟と袖がはじめから縫い付けられている、いわゆるワイシャツを開発した。
ワイシャツとは和製英語で、White Shirtの発音を日本人が聞き間違えて、ビジネスシャツのことをワイシャツと呼ぶようになったのだ。
シャルベの顧客で、有名なのはJFケネディだろう。1960年9月26日、ニクソン候補とのテレビ討論で、ケネディはシャルベの白いシャツに濃い色のネクタイを着用して、ニクソンを論破した。
スーツやネクタイはアメリカの服飾ブランドを着用したが、シャツだけはフランスのシャルベにこだわった。エレガントでありながら、活動的で、さっそうとした印象を与えられるのはシャルベのシャツだったのである。
フランスの初代ドゴール大統領もシャルベの顧客だったが、そのことをシャルベ本社は公表していない。ケネディ大統領が顧客であったことも公表していない。DSCF1974
シャルベの顧客リストは機密なのだ。
ケネディやドゴール自身が、シャルベのシャツを着ていることを語ったために世界中に知られることになっただけである。
ちなみにルパン三世のシャツもシャルベのオーダーシャツである。
シャルベ本社の顧客リストに、ルパン三世の名が記載されているかどうかは、インターポールでさえ、把握していない。

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